リアルタイム分析が与える選手への影響
現代サッカーは分析戦国時代へ
インターネットが普及している現代ではあらゆる場面でデータが集められ分析されている。
それを生活していて我々が実際に感じることは少ないが、ビッグデータと呼ばれる言葉を耳に目にすることは多い。
ビックデータとは一般的なデータでは処理出来ない膨大な量や複雑なデータのこと。
それは実生活の中だけでなくサッカーでも活かされるようになってきている。
戦術を分析するのは練習時だけでなく試合中、リアルタイムでデータ分析されるようになっているのだ。
それによってもたらされる選手への影響とは?
今回はリアルタイム分析が選手に与える影響を僕の考察していく。
選手に求められるモノ
リアルタイムで分析が可能になった現代サッカーでは選手達に求められるレベルも上がってきている。
試合中にシステムが流動的に変化し、選手達はそれに適応しなければならない。
つまり選手はマルチタスクをこなさなければならないのだ。
そのために必要なのが戦術理解と適応力だ。
FWは点を取るだけでなく中盤まで下がってディフェンスをする、サイドバックは時に中盤にポジションし中をカバーしなければならない、試合中に起こるポジションチェンジ...などが求められる。
自分の役割とチームの戦術を深く理解することが何より大切だし、それに適応出来なければいけない。
戦術理解と適応力
例えば、マンCにヘップ・グアルディオラがやって来た時。彼はポゼッションサッカーを軸にしている。そのため足元に不安がある守護神ジョーハートではなく、バルセロナでプレーし足元の上手いブラーボを獲得し起用した(結果的にブラーボはインパクトを残すことなく終わったが)それからビルドアップに長けたエデルソンを守護神に迎えた。
A.マドリードの場合、18-19シーズンに当時最高額でモナコからやって来たレマルがシーズンを通してアトレティコにフィット出来なかった。これはシメネオのスタイルが異質というのもあるが、期待された活躍を見せることなく終わったレマル本人にとっても不本意なシーズンだったはずだ。それだけでなく多くの選手が移籍でやって来たがシメネオの信頼を勝ち取れず去っていった
逆にアトレティコのエースとしてチームを引っ張ったグリーズマンは最初はサイドプレーヤーだった。しかしFWで起用されてから才能をさらに開花し、また偽9番の役割を任されても-中盤まで下がって守備をしゲームを組み立てる-うまくフィットしてみせた。
チームによってそれぞれ特徴が異なるため新たに選手がやって来た場合、その選手がフィット出来るかどうかは非常に重要なのである。
そしてチームの戦術を理解することが出来なければフィットする時間はよりかかってしまう。
どちらかが欠けてもダメ
例え戦術が理解出来ても一つのポジンションしかプレー出来ないようでは試合中に流動的に変わっていくシステムに適応することが出来ない。そうなればチームのバランスは失われてしまう。
一方で適応力があるだけではダメなのだ。
監督がチームに求めている戦術を理解出来なければリアルタイムで分析がされている試合の中で監督の意図を感じとることは難しい。
戦術理解と適応力は=の関係に近い。
しかし=の関係では無いということだ。
大切なのは結局はバランス
戦術理解や適応力が個人にとって大切だが、チーム全体で見ると大切なのはバランスであることに変わりはない。
リアルタイム分析もチームのバランスを保つための一つの方法に過ぎない。
グアルディオラはポゼッションサッカーを軸にしているため攻撃的にチームと思われるかもしれない。
しかし彼は攻撃時にも、奪われた後のことを考えチームにその戦術を落とし込んでいる。
両サイドバックには中盤をカバーさせ中を固め、カウンターを防いでいる。
これは数値でも現れており18-19シーズンの失点数は23とリーグトップのリバプール22に次いで2位。 17-18シーズンのクリーンシート数は15だ。
更に攻撃的なイメージのあるリバプールも18-19シーズンの失点数は22でわずかに負けたのは1回だけである。
得点<失点では勝てないのは当たり前で、得点>失点になるようにするには失点の部分を以下に少なくするかが大切なのだ。
失点を恐れ極端に守備意識のチームでも同点では意味がない。
大切なのは意外にもバランスで、そのバランスを保つ方法の一つがリアルタイム分析なのだ。
そしてバランスを保つためにも選手の戦術理解と適応力が大切なのだ。
ユースレベルから育成を
ではどうすれば戦術理解と適応力を伸ばせるのか
それはユース時代から教え込むのが近道だろう。
子供は大人より多くのことを吸収出来る。
しかしいつの年代から教えればいいのかという問題も生まれてしまう。
小学生に戦術を理解しろ!と言っても難しい話で、この年代は技術面を優先して磨かせた方が良いのはわかる。
しかし小さい時から多くのポジションを経験させることは出来る。
子供たちが混乱しない程度に2つくらいのポジションをやらせることはマルチタスクをこなしていく手助けになるだろう。
リアルタイム分析が進んでいけばユースのレベルも格段に上がっていくではないだろうか。